バラを育てるに当たって、重要な用語として一季咲きと四季咲きがあります。これはバラの花がどのように咲くかを表した用語です。
一季咲きとは、春だけ花を咲かせる性質を指します。名前の通り、一年に一回だけ咲くバラのことです。有名な例としては、ノイバラがあります。桜や梅も一季咲きの典型例です。一年に一回だけしか咲かないから、花が咲いたあとは枝を伸ばすためにエネルギーを使います。花もたくさん咲かせます。図式で表すと以下のようになります。
春:花がたくさん咲く → 夏:咲かない → 秋:咲かない → 冬:休んでいる
「一年に一回しか咲かないならあまり嬉しくない」と思うかもしれません。一季咲きのバラは豪華に花がさくので、四季咲きではこのような性質を中々味わえません。ただ、一年に一回しか咲かないから、そこがデメリットだと感じる方もいると思います。その時は、一季咲きではなくて四季咲きのほうが良いかもしれません。
つる状に伸びるバラは一季咲きが多いです。なぜなら一季咲きは一年に一回しか花を咲かせないので、花が咲いたあとは枝を伸ばすのにエネルギーを使えるからです。しかし返り咲きや繰り返し咲きのように、一概には言い切れない例もあるので、後ほど解説します。
四季咲きとは、名前を見ると「年がら年中咲くバラ」であるイメージがあるかもしれません。それは概ねあっています。厳密に言うと四季咲きとは
「一定の温度がある状態で、花が咲き終わったあとに剪定すれば、必ずまた新しい花がさく性質」
を指します。難しそうに見えますが、解説していきます。まず冬にバラは咲きません。葉っぱを落として枝だけになります。そして春になると新芽が出て、枝が伸びて花が咲きます。通常花がさくのは、春から秋の間になります。図式で表すと以下のようになります。
春:花が咲く → 夏:花が咲く → 秋:花が咲く → 冬:休んでいる
再びバラの花を咲かせるためには、剪定することが極めて重要です。さもないと花から実(ローズヒップ)ができて、バラのエネルギー大きく消耗する結果となります。すなわち次の花が咲きにくくなります。花を咲かせるにもエネルギーが必要だからです。
四季咲きのピースです。美しい花色が特徴的です。 花が大きいです。
四季咲きのアイスバーグ。白い花が印象的。丈夫で強健なので おすすめです。花の大きさは中くらいです。
「じゃあ温室だったら、四季咲きのバラは冬でも花が咲くのか?」と思った方はカンが良いです。そのとおりです。切り花用のバラは、四季咲きの性質を利用して、温室で栽培しています。このように切り花のために育てられたバラの品種のことを「切り花品種」と呼びます。
では切り花品種のバラは、庭で育てやすいでしょうか?これはかなり厄介なことになります。なぜなら外の気候は、温室のように安定した気候ではないからです。外では雨もふりますし、風もふきます。虫や病原菌もたくさんいます。したがって切り花品種のバラを、庭で育てるのは難しいのです。病気に強い切り花品種はあります。そのような品種のバラは、庭用のバラ苗として売られていることもあります。
函館を例に取ると、6月終わりくらいに春バラが咲き出します。品種によっては遅れることもあります。秋バラが咲くのは、9月から10月くらいです。霜が降りるまで咲くこともあります。
四季咲きのバラは、花が咲き終わった後剪定すると、新芽が出てきます。そしてまた花を咲かせます。剪定してから花が咲くまでにかかる時間は、環境やバラの品種に依存します。
夏もバラは咲きますが、あまりにも暑いとそれほど良い花にはならないことが多々あります。咲いたとしても、すぐに散ってしまうこともあります。なぜぼかした表現にしているかといいますと、地域や気候によっては夏期でも、バラの花が咲くからです。高地や寒冷地では夏でもバラが咲きます。逆に沖縄になると、秋から春にバラが咲きます。夏は暑すぎるので、花を咲かせることができないのです。北海道からみると、沖縄の夏は冬に見えます。いずれにせよ、暑すぎても寒すぎても、バラは満足に活動することはできないのです。
最初にバラを買うときは四季咲きのバラが良いと思います。一年に何回もバラが咲くので、育てがいがあります。一季咲きは四季咲きを買った後でも遅くないでしょう。一季咲きを最初に買うのも悪くないですよ。桜のように豪華な花ぶりを見ることができるのは一季咲きならではの性質です。ローズヒップを収穫したいと思っている方も一季咲きが良いでしょう。